最近、「病気の予防のために、お口をきれいに保ちましょう」という話をよく聞くようになってきました。
お口の環境は、一見関係のないように見える病気や疾患――例えば、糖尿病や心筋梗塞、はたまた癌――までとも深く関わりがあります。
では、お口の環境はどのようなメカニズムで全身疾患と結びついているのでしょうか。
肺は口と直接繋がっている器官であり、お口の影響をダイレクトに受けます。
日本人の死亡原因疾患の第4位である肺炎は、特に気管支が弱っている高齢者で多く、お口の環境も悪化している場合が多くみられます。
肺炎は、肺に病原菌やウィルスが感染して炎症を起こしてしまうことで起こります。健康な人には体力があり、お口の環境もきれいな為、肺に病原菌などが入り込んでも自分の免疫力で撃退することができます。
しかし、お口の環境が悪化している人の場合は体力も低下していることが多く、入り込んだ病原菌を対処できず、感染を拡大させてしまいます。さらに、悪化したお口から歯垢や汚れが混ざった病原菌濃度が高い唾液を飲み込むと、肺炎に追い打ちをかけてしまうことになるのです。
お口の衛生状態は、肺炎の引き金になったり、悪化させる原因になってしまいます。
また、お口の衛生状態はお口と直接繋がっていない部分にも影響を与えます。
次はそのメカニズムを見てみましょう。
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