皆さんは、普段の生活の中で「ニオイ」について気になったことはありませんか?
台所の匂い、シャツや靴の匂い、ペットの匂い……
気になるその匂い、実は雑菌が関係していることが多くあります。
今回のコラムでは「雑菌と、雑菌が発生させるニオイ」についての話をお届けします。
第一章は「匂い・香りとは?編」です。
そもそも、匂いや香りの正体とはいったい何なのでしょうか?
結論から言うと、匂い・香りとは
「空気中の微細な物質が鼻の粘膜に付着したときに感じる感覚」です。
空気中には、様々な微細な物質が存在します。
ヒトの場合、呼吸とともに微細な物質が鼻の穴から入り、鼻からのど付近にある鼻腔(びくう)に到達し、鼻腔の天井部分にある嗅上皮の粘液に溶け込みます。
嗅上皮にある嗅細胞には嗅覚受容体、即ちにおいセンサーが存在し、粘液に溶け込んだ微細な物質を捕捉します。
そのシグナルが嗅神経に伝達されることで最終的に「匂い」として認識することができるのです。
そうなんです。
あくまでも「感覚」なので、人によって匂いの感じ方は違います。
冷蔵庫の残りものを食べるかどうか迷ったとき、まず匂いを嗅いでみると思います。
「ちょっと変なニオイがしない?」
「そうかな?変わらないと思うけど」
新しく買った香水をつけてみたとき、
「すてきな香りでしょ!」
「匂いが強いよ、少しつけ過ぎじゃない?」
こんな会話をした思い出はありませんか?
同じものを同じように嗅いでいるはずなのに、人によって感じ方は違うのです。
もちろん、生き物によっても匂いの感じ方は違います。
例えば、みかんやレモンなどの柑橘系の匂いは、ヒトにとっては良い匂いですが、ネコにとっては不快な匂いです。
逆にヒトにとっては生臭く思える傷んだ魚の匂いも、ネコにとっては素晴らしいごちそうに感じることでしょう。
ヒトは傷んだ食べ物が発生させるガスを不快な匂いとして感じています。
しかしネコにとってはちょっとくらい傷んでいても、健康を害する危険性は少ない、魅力的な香りのするごちそうなのです。
これはその動物にとって有益なものか、健康に害のあるものか、嗅覚によって判断しているということです。
ヒトにとって傷んだ魚の匂いには、もちろん食中毒の危険があります。
ネコにとってみかんの香りは不快なだけではありません。
みかんの皮に多く含まれるリモネンという成分を肝臓で分解・代謝できず、中毒や肝臓疾患になってしまう危険性があります。
不快な匂いに気づき、遠ざけようとする状態は、健康を害する可能性のあるものを避ける本能と考えられるかもしれません。
第二章「雑菌が関係するニオイ編」では、
生活のあらゆるところに潜む雑菌とその匂いについてご紹介します。
お楽しみに!
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