第一章では菌とウイルスの生物としての違いを解説しました。
今回のテーマは「菌の病原性」です。
身近な病気の原因である菌
菌は、身の回りのあらゆるところにいます。
例えば、土の中、水の中、空気中など自然環境はもちろん、皮膚の表面や腸内、口の中など、私達の体にもたくさん棲んでいます。
ヒトがまともに生きられないような
100度を超える熱水が吹き出す深海や、
地面の奥深く地下5,000mの土壌中や、100℃を越える熱水の中、水深6,000mの海底、はたまた、地上から5,000mの遥か上空からも、微生物の存在が確認されています。
微生物がいないような空間を目にすることは、大変難しいのでは無いでしょうか?
すごいバイタリティですね
ほとんどの菌はヒトにとってなんの影響もありませんが、一部の菌は有害な物質を作り出し、体にダメージを与えることがあります。
身近な菌を例にとって、詳しく見てみましょう!
典型的な食中毒の症状で、吐き気や腹痛、嘔吐、下痢などの症状が出ます。
潜伏時間は30分~6時間(平均約3時間)、通常は1日から2日で治ります。
特別な治療法はなく、下痢になった場合でも下痢止めは使用しません。脱水症状にならないよう十分に水分を取るなどの対症療法で菌が身体から排出されるのを待ちます。
おにぎりを素手で握るなど、食べ物を直接触ってしまうことで食中毒の原因となります。
料理前の手洗いを徹底し、食べ物に菌をつけない・増やさないことが大切です。
作ったらすぐに食べるか、冷蔵庫で保存することを徹底しましょう。
ヒトの生活環境に広く分布しています。
健康な人でも、20~30%はこの菌を保有しているとされ、鼻やのど、口の中、髪の毛、などにいます。
傷口などにもいますので、手指に傷がある場合は調理を避けるか、ビニール手袋などをましょう。
黄色ブドウ球菌は食べ物の中で増殖するときに『エンテロトキシン』という毒素をつくります。
菌自体は熱に弱いのですが、毒素は熱や酸に強く、100℃で30分加熱しても分解されません。
このように毒素が原因で起こる食中毒は「毒素型食中毒」と呼ばれます。
むし歯の原因菌のひとつです。
増殖する際に乳酸などの様々な物質を作ることで口の中を酸性に傾け、歯にダメージを与えてしまいます。
歯のカルシウム等が溶け出し、歯を溶かしてしまいます。
この状態がずっと続くと、ついには穴が空いてむし歯になります
唾液によって人から人に伝染ります。
決して特別な菌ではなく、成人であれば誰の口のなかにもいます。感染を完全に予防することは難しいですが、歯磨きで虫歯の発生を抑えることが出来ます。
きちんと歯を磨いているつもりでも、歯の裏側や歯と歯の隙間など、意外と磨き残しがあります。
で半年~1年に1度は定期的に歯科検診を受け、歯や歯茎の健康状態をチェックしてもらいましょう。
ヒトの場合はとくに歯垢中に多く、舌面や唾液中からはあまり検出されません。
増える時に「グルカン」というネバネバの物質を作り出して歯に強力に付着します。この中で菌が繁殖して白い汚れとなったものが歯垢(プラーク)と言われます。
続いて乳酸を作り出し、歯の表面のエナメル質を溶かしてしまいます。
白癬菌というカビの一種で、皮膚に感染します。
足指の間や足の裏、足の爪などに感染すると「水虫」と呼ばれます。
抗真菌薬を指示通り付けていただければ、多くの場合は治療期間は数ヶ月程度です。再度感染することもあります。
ヒトからヒトにうつります。
水虫にかかった人の皮膚からはがれ落ちる角質(鱗屑)の中にも生きているので、それを素足で踏んだりして菌が付着することにより感染します。
。毎晩入浴して足やからだを清潔にし、弱酸性の状態に保っていれば、感染は予防できます。
白癬菌は、高温多湿の環境を好みます。また、皮膚表面に汗や汚れが残っているアルカリ性の皮膚環境も、白癬菌が繁殖しやすい状態です。
特に毒素は作らず、菌自体が増えることで
また水虫の場合は、水虫の原因菌(白癬菌)が角質を食べ生産した物質により炎症が生じ、かゆみや皮むけが起こるようになります。
つまり、菌が繁殖するときに生産されるなんらかの物質により、細胞にダメージを受け、病気になっていることがわかります。
これに対して、体はさまざまな免疫の仕組みにより菌を駆除していきます。 しかし、菌側も免疫から逃れる物質や、免疫細胞を攻撃する物質を出したり、あるいはバイオフィルム(ヌメリの物質)をつくり閉じ籠ることで対抗していきます。そして菌の増殖のスピードが勝っている場合に、実際に症状があらわれてきます。
私たちの体は常に菌の繁殖に対して、免疫で対抗しながら健康を維持しています。普段から食事、睡眠、運動のバランスを意識して、免疫を健全な状態に保ち、病気になりにくい生活をしたいですね。
第三章は~~~~~~~~
お楽しみに!
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